一伸建設 サイト管理者ブログ

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2019.04.23 Tuesday

最低制限価格の事前公表について思うこと

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    先日参加した建設部会の総会では毎年、

    「奈良県に最低制限価格の事前公表の中止を求めていく」という

    活動方針が示されます。

     

    と言うのは、

    奈良県さんは全国でも数少ない「最低制限価格の事前公表」を

    行っている県だからです。

     

    まぁ、国自体がその方向性を示していますし、

    建設業協会さんなんかも表面的にはその方向性を示しています。

     

    でも、

    小さい建設会社の入札担当者で個別にこの件について会話をすると案外

    「事前公表無くなるのはきついよねぇ。」という意見も多いです。

     

    自分個人も

    「最低制限価格の事前公表は人手不足・資金不足・時間不足・情報不足の

    零細建設業者にとっては非常に有難い制度。」だと思っています。

     

    確かに、事前公表を行う結果として、

    「最低制限価格への張り付きと、くじ引きによる落札者決定が常態化している。」

    という大きなデメリットが発生してるのは理解しています。

     

    当社でも、

    総合評価落札方式ではなく価格だけで落札者が決定する

    指名競争入札や一般競争入札に参加する際は「運頼み」なのが現実です。

    でも、果たして「運頼み」で落札業者が決まるのはいけないのでしょうか??

     

    個人的には、そんなことはないと思っています。

    絶えず人手不足・資金不足・時間不足・情報不足の零細建設業者にとって

    くじ引き入札は実は会社を維持していく上で非常に有難いシステムでもあるからです。

     

    従業員5人以下程度の建設業の会社では、

    たいてい積算出来るのは「社長」と呼ばれる人だけだったりします。

    その人は、現場の段取りをして、現場の指揮を執って、書類を作成し、

    時間をひねり出してスマホやパソコンで入札情報のページにアクセスをし、

    入札参加できる物件を探し、設計図書をダウンロードし、

    デスクのメモ帳や手帳にびっしりと入札書の締め切り日や開札日の予定を記載し、

    入札締め切り前までに、仕事の合間をぬって積算したり、

    夜な夜な会社に居残って積算したりしながら、入札参加しています。

     

    積算ソフトを導入出来ている会社であれば、積算の労力は多少減ります。

    しかし、積算ソフトが導入されていない会社では、その労力は多大なものです。

    積算ソフトが導入されていても、単価や積算データの少ない廉価版のソフトならば

    積算にはそれなりの時間がかかります。

     

    現状、最低制限価格が公表されていて、

    その価格に合わせて積算をする事が可能であるから忙しくても入札に参加出来ている。

    という建設業者さんは非常に多いと思います。

     

    特に年度末なんかは、ぶっちゃけ「最低制限価格の公表ありき」

    で入札制度が維持されているんじゃないでしょうか?

     

    当社でも年度末には

    「社長、入札公告出てますけどどうしますか?」

    「あー、積算する暇ないからしばらくはスルーやなぁ。」という会話が頻発します。

     

    最低制限価格が事前公表されているからこそ、

    忙しくても入札に参加出来ているわけです。

     

    もしくは、

    「んー?落札できへんでいい物件やから、

     積算の練習やとおもて〇〇くんが入札しときぃ。」

    なんて言って、普段は積算していない子の練習で参加させたりもします。

     

    最低制限価格の事前公表のデメリットとして

    「最低制限価格の事前公表を行うと業者の積算能力が上がらない。」

    とよく記載されていますが、そんなことはないです。

    むしろ初心者には価格が見えていて、寄せて積算できる分、

    最低制限価格が公表されている=積算経験が積みやすい。

    いつでも入札に参加出来てとても良い練習になったりもします。

     

    最低制限価格が公表されている=積算がしやすい。

    という状況でも、人手不足・時間不足の零細建設業者には大変な作業の積算業務。

     

    自分は、

    奈良県さんが「最低制限価格を事後公表」で入札を実施していた時期に

    ひたすら残業して積算をしていた経験がありますから実感していますが、

    最低制限価格の事前公表が中止されてしまい、

    1000円単位のシビアな積算が求められてしまうと、

    積算担当者の心的・身体的負担は相当に増大するでしょうねぇ。

    総合評価落札方式なんて「低入札調査制度」が導入されていますから

    「もしか低入になったらどうしよう?」と考えたら

    積算担当者は働き方改革なんてなんのその、

    もはや、うつ病か過労死まっしぐらでしょう(笑)。

     

    ばっちり単価やデータが揃っている

    高級なソフトは積算時間も短いですし、積算価格も相当に寄せれますが、

    ソフト1本100万円・200万円で購入、5年で償却となると

    資金不足の零細業者にはなかなか手が出るものではありませんし=3

     

    どんなに高級なソフトでも、データのタイムラグ等があるので、

    ピッタリ価格というのは簡単には出ませんから、

    ピッタリ価格の積算をするためには、

    最新の単価情報を求めて役所を回る作業も必要となるでしょう。

    しかし、零細業者にはそんな人員の余裕もありません。

     

    また、奈良県さんの側にも、

    すべての積算単価データを逐一ネット上で公開しダウンロード出来るようにするという

    人的余裕・予算的余裕も無いと思われます。

    結果、最低制限価格の事前公表が中止で予測出来ること、、、

     

    1、年度末の入札参加者の減少・不落工事の増加。

    2、運頼みにしろ仕事を得ることが出来ていた零細業者の淘汰。

    3、働き方改革に逆行して残業時間の増加。過労死の増加。

    4、積算能力不足な零細業者から上級ランク業者への上請けの増加。

      (現状でも現場管理や書類作成、技術提案作成が不得手な零細建設業者が

       A等級やB等級の上位ランク業者に仕事を下請けに出している上請けが

       さらに増加し、結果、上位ランクに工事が集中、下位ランク業者淘汰。)

    5、最低制限価格を求める建設業者からの役所職員への贈収賄事件や、

      最低制限価格の漏洩による役所職員の逮捕増加。役所は更なる人員不足。

     

    こんな感じでしょうか?

     

    こういうのを考えると、、、

    まぁ、国が最低制限価格の事前公表を中止しなさい。

    っていうのは、仕方がないとして、、、

    中小零細企業団体の建設部会さんが、これを言うのはどうなんだかなぁ。

    と思ったりもしますね。

    法令順守の世の中だからこそ「一般社団法人」として国に背けないってのは

    仕方ないのかもしれないですが、、、

    メリット・デメリットで論じれば

    零細建設業者にとってのデメリットも非常に多いことでもあります。

     

    これじゃあ、むしろ自分には、

    奈良県さんのほうがよっぽど建設業者を守ってくれているように思えます。

     

    最低制限価格の事前公表が実施されていても、

    総合評価落札方式では、企業の社会性や技術力も

    ある程度きちんと評価されて落札業者が決まっています。

     

    せっかく価格が事前公表されているんですから、

    下位ランクなんかは、最低制限価格の事前公表中止よりも

    簡易的な総合評価落札方式の導入を進めるほうが良いんじゃないでしょうかねぇ?

     

     

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